年金は男女でこんなに違う/60代からの年金の話③

お金のこと

【年金シリーズ】
①「ねんきん定期便」チェックしてますか?
②日本の年金制度は2階建て
③年金は男女でこんなに違う(この記事)

年金の平均額、その「中身」を見ていますか?

年金(厚生年金)の平均額はよく「月14万5千円」と言われます。
でもこの数字、男女をひとまとめにした“平均”です。

実際には、男性と女性のあいだに驚くほど大きな差があります。

その差は単なる数字の問題ではなく、
私たちの社会の仕組みや、働き方、家族のあり方が長い時間をかけて作ってきたもの。

今の若い世代が「子どもを持つかどうか」を考えるときにも、
静かに、でも確実に影響を与えている問題です。

男女でこんなに違う年金額

数字だけではイメージしにくいので、簡単に図で見てみます。

※厚生労働省:「令和5年厚生年金保険・国民年金事業の概況」より作成

こうして見ると、その差がかなり大きいことが実感できます。

65歳から受給できる厚生年金を含んだ年金の平均は、
月あたり145,000円くらいと、その金額で試算されることが多いですが、
これは男女合わせた平均金額です。

別々に見るとどうなのでしょうか?

男性―約167,000円
女性―約107,000円

何と月額にして約60,000円、
年額だと実に720,000円もの開きがあります。

なぜ差が出るのか

この答えは簡単です。

厚生年金は保険料は、その時の賃金から割り出されて、
働いている間に給料天引きの形で支払っています。

ですので、厚生年金の受給額が低くなる理由は・・・

・賃金が低い = 支払った保険料が低い

・就業期間が短い = 支払った回数が少ない

この2つです。

被保険者の男女比から見えること

厚生年金の受給者は、第2号被保険者だった方々ですが
ここでそれぞれの被保険者の割合を見てみます。

この平均は今受給している人の平均なので、
今の年金の被保険者割合とは必ずしも一致するわけではありませんが、

現在の被保険者の男女比を見ると

第1号被保険者 53:47
第2号被保険者 59:41
第3号被保険者 2:98

第2号被保険者の割合は約6対4です。

冒頭の受給金額を割合にしてみると
やはり約6対4です。

偶然にも近い数字になっていますが、
これは単純に比例しているわけではなく、
賃金や就業期間の違いが重なった結果です。

第2号被保険者の割合差の理由

では、なぜ第2号被保険者の割合に差が出来てしまうか?

これは、第3号被保険者の割合を見ると想像がつきます。
98%・・・ほとんどが女性です。

第3号被保険者は第2号被保険者に扶養されています。

扶養しているお子さんが働けていない場合もあるかとは思いますが、
それにはあまり男女差が無いと思うので、

「夫に扶養されている妻」と

「妻に扶養されている夫」

の割合の差と言ってもいいのではないかと思います。

今の被保険者割合ですから、
現在年金を受給している方々が若い頃には、もっと差があったでしょう。

なぜ第3号被保険者になるのか

この第3号被保険者ですが、
最初は女性でも高校なり大学なりを卒業したら、
ほとんどの方が仕事に就くと思うんです。

でも、どうして第3号被保険者になるのか?

今は、結婚しただけで家庭に入る人は昔に比べて少ないと思います。

多くの方は妊娠・出産を機に、
子育てのために一旦退職するのではないでしょうか。

キャリアと将来への影響

産休・育休を取りながら働き続ける女性もどんどん増えていますが、

休むことでキャリアが中断する、
将来の昇進にも響く、

生涯年収には大きく差が出てしまいます。

昔、結婚は“永久就職”と言われました。
将来の年金も、ずっと2人で1家計と考えれば良かったのだと思います。

今はどうか

でも今はどうでしょうか。

愛が永久じゃなくなったわけではないと思いますが(笑)、

何があるかわからない。

また、リタイアしたら子供夫婦と同居して、
ある程度子供の世話になるという未来も、今は当たり前ではなくなっています。

子どもを持つという選択

子どもを持とうと考えたときに、どちらかが仕事を犠牲にしなければならないとなれば、

現実として女性になることが多い。

これは女性の将来の年金にも大きく影響してきます。

永久就職ではない、子供の世話にもなれないとすると、

子どもを持つことを自分の人生のリスク

と考える女性が出てきても、何ら不思議はないと思います。

男性には見えにくい現実

これは母性が薄いとか、そういう話ではないのですが、
そのことが男性にはなかなか、というかほぼ理解されにくいと思います。

だから年齢の高い男性が多い場で話し合っても、なかなか解決しない。

お金の問題だけではなく、

「何を犠牲にするのか」という感覚が想像しにくいのだと思います。

本当に必要なもの

だから、“それも、まぁいいんだけど、そこじゃないのよ…”という、

痒いところに手が届く対策がなかなか生まれないのではないでしょうか。

結局のところ、制度を動かすのは人です。

そして“痒いところに手が届く”政策を作るには、
実際にその痒さを知っている人が必要です。

これからに必要なこと

だからこそ、政策を作る側にも、もっと若い女性が進出していかないと、

いつまでたっても本質的な解決には近づかないのかもしれませんね。


年金は本当に「元が取れる」のでしょうか。

次回は、この疑問をできるだけシンプルに、数字で考えてみたいと思います。


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