「ねんきん定期便」チェックしてますか?/60代からの年金の話①

お金のこと

【年金シリーズ】
①「ねんきん定期便」チェックしてますか?
②日本の年金制度は2階建て
③年金は男女でこんなに違う
④年金は元が取れるか?
⑤繰り上げ・繰り下げ受給って? 
⑥特別支給の年金とは?
⑦働くと損?在食老齢年金制度とは?
⑧加給年金とは?条件や金額、振替加算まで解説
⑨年金の手取りはいくら?
⑩遺族年金制度とは?①もしものときのための基本
⑪遺族年金制度とは?②2025年改正で何が変わる?

60歳を超えて考えるお金

60歳を超えてくると、いろいろと考えなくちゃならないことが増えてきます。

その中でも大きなテーマの一つが「お金」。

古き良き……かどうかはわからないけれど(笑)、
昔は55歳や60歳まで一つの会社で働き、退職後は年金をもらう。

家のローンも終わり、
長男夫婦と同居している方もいたりして、

扶養内で働いていた妻の国民年金も合わせれば、
夫婦二人で孫にお小遣いをあげながら、そこそこの生活ができた時代でした。

当時の年金受給者は、

「自分が積み立てた分を受け取っているだけ」

と思っていた方も多かったようです。

実際、仕事でご老人にそう言われたこともあります。

その頃は、

「年金は現役世代が高齢者を支える仕組み」

ということを、今ほど意識する人は多くなかったのかもしれません。

日本の高齢化はここまで進んだ

65歳以上の人口割合は、私が生まれた1964年には6%台。

65歳以上の方は、およそ16人に1人でした。

ご近所は若い家族ばかりで、
住宅街もわちゃわちゃしていた記憶があります。

それが1994年には14%を超え、2025年には29.4%。

いまや65歳以上の方は、ほぼ3人に1人です。

そして、この割合は今後もさらに高くなると予測されています。

そりゃ、年金制度も昔のままではいられません。

現役世代が高齢者を支える仕組みなのですから、

支える側が少なくなり、支えられる側が増えれば、
制度を維持するためにさまざまな見直しが必要になります。

まだ何とかなっているほうが奇跡的な気さえします。

2025年の65歳以上人口は総人口の29.4%で過去最高となっています。

年金は60歳から65歳へ

昔は60歳から支給されていた厚生年金。

1985(昭和60)年の法律改正により、
厚生年金の受給開始年齢は60歳から65歳へ引き上げられることになりました。

ただし、

「来年60歳だから年金がもらえると思っていたのに、突然65歳からです」

では困りますよね。

そこで、受給開始年齢を段階的に引き上げるための経過措置として設けられたのが

「特別支給の老齢厚生年金」です。

生年月日や性別などによって受給開始年齢が異なる、少々複雑な制度です。

この「特別支給の老齢厚生年金」については、別の記事で詳しく説明しています。

「特別支給の年金とは?⑥/60代からの年金の話」

厚生年金の受給開始年齢の65歳への引き上げと、
特別支給の老齢厚生年金の位置づけは日本年金機構の説明に基づいています。

「ねんきん定期便」チェックしていますか?

さて。

皆さん、ご自身がどのくらい年金を受給できるか把握していますか?

ゴールデンエイジに差し掛かっている方なら、

当然チェック済ですよね?

……とは思いますが(笑)、
念のため「ねんきん定期便」について整理してみましょう。

「ねんきん定期便」は、
毎年誕生月に日本年金機構から届きます。

通常はハガキで、
35歳・45歳・59歳の節目の年齢には封書で届きます。

今回は、50歳以上の方に届くハガキ版の「ねんきん定期便」を見ていきます。

※日本年金機構「令和8年度 ねんきん定期便 50歳以上の方」様式を加工して作成

「ねんきん定期便」は年齢によって形式や記載内容が異なり、35歳・45歳・59歳には封書で送付されます。

① 政府の一推し?「繰り下げ受給」

ハガキを開いて、まず目に飛び込んでくるのがこのグラフ。

65歳から受給する場合の年金額を100%とすると、

70歳まで繰り下げれば42%増額。

75歳まで繰り下げれば84%増額。

かなり目立つ場所に、かなり目立つ表示で載っています。

国の「繰り下げ受給推し」を感じるのは、私だけでしょうか(笑)。

もちろん、繰り下げ受給にはメリットもデメリットもあります。

単純に「84%も増えるなら75歳まで待とう!」という話ではありません。

このあたりは別の記事で詳しく書いています。

「繰り上げ・繰り下げ受給って?/60代からの年金の話⑤ 」

② 私はここを見て震えます(笑)

次は「これまでの保険料納付額」。

これまで自分が納めてきた国民年金保険料や、
厚生年金保険料の本人負担額が記載されています。

長く会社員や公務員として働いてきた方なら、
8桁の金額が表示されていることもあるでしょう。

私はここを見るたびに震えます(笑)。

こんなに払ったのか……。

ちなみに、厚生年金保険料は会社や勤務先も同額を負担しています。

つまり、ここに表示されている厚生年金保険料の本人負担額だけが、

年金制度に入っているお金のすべてではありません。

そして年金は、自分が払った保険料を自分のために積み立てている制度でもありません。

このあたりの仕組みは、

「日本の年金制度は2階建て/60代からの年金の話②」

「年金は元が取れるか?/60代からの年金の話④」

でも詳しく書いています。

③ 最近の年金記録もチェック

右側には「最近の月別状況」が載っています。

最近の国民年金の納付状況や、厚生年金の加入区分、
標準報酬月額、標準賞与額などを確認できます。

ここで一つ注意。

「標準報酬月額」は、実際にもらった給料そのものではありません。

年金保険料を計算するために、給与などの報酬月額を一定の幅で区分したものです。

「私のお給料、この金額じゃない!」

と慌てないでくださいね(笑)。

ただし、加入状況などに「おや?」と思うところがあれば、確認しておいたほうがいい項目です。

日本年金機構も、ねんきんネットでは
国民年金保険料の未納期間や標準報酬月額の大幅な変更など、

特に確認が必要な記録を分かりやすく表示しています。

④ 大事なのは「受給資格期間」

そして裏面。

金額に目が行きがちですが、

まず確認してほしいのが「受給資格期間」です。

老齢年金を受け取るためには、
原則として10年、120月以上の受給資格期間が必要です。

つまり、

「いくらもらえる?」

の前に、

「そもそも受け取る資格がある?」

を確認するところ。

特に、転職を繰り返した方、
自営業と会社員の期間がある方、
扶養に入ったり外れたりした方などは、

一度確認しておいて損はありません。

受給資格期間には、保険料を納めた期間だけでなく、

保険料免除期間や合算対象期間なども含まれます。

原則120月以上が必要です。

⑤ 結局、一番知りたいのはここ!

そして最後は、

「老齢年金の種類と見込額」。

おそらく、皆さんが一番知りたいところですよね。

65歳から、いくらもらえるのか。

50歳以上の方の「ねんきん定期便」には、
老齢年金の見込額が表示されています。

60歳未満の方は、
現在の年金加入制度に60歳まで継続して加入したと仮定して計算された見込額です。

60歳以上65歳未満の方は、
作成時点の年金加入実績に応じた見込額が表示されます。

思ったより多いですか?

それとも、

「これで暮らせって?」

と思いましたか(笑)。

私は後者の方もかなりいると思っています。

でも、多いにしろ少ないにしろ、
まずは自分が受け取れる年金額を知ること。

これが老後のお金を考えるスタートです。

50歳以上のねんきん定期便に表示される見込額の計算方法は、年齢によって異なります。

60歳を超えて働けば年金額は増える?

「この金額でもう決まり?」

と思った方もいるかもしれません。

60歳を超えても厚生年金に加入して働いていれば、

その加入期間は年金額に反映されます。

また、65歳から受給せず、
受給開始を遅らせる「繰り下げ受給」を選べば、年金額を増やすこともできます。

逆に、60歳から65歳になる前に受給する「繰り上げ受給」という選択肢もあります。

これから増やす方法を考えるにしろ、

今の見込額を基本に生活を考えるにしろ、

まず必要なのは、

自分の年金額を知ること。

何回見ても増えるわけではありませんが、
私はしょっちゅう見ています(笑)。

心配な人は「ねんきんネット」で全部チェック

「昔の年金記録、ちゃんと入っているのかな?」

「転職したときの記録は大丈夫?」

「扶養に入ったり外れたりしたけれど……」

そんな心配がある方は、

「ねんきんネット」で確認してみてください。

「ねんきんネット」では、
自分の年金記録や将来の年金見込額などを、
パソコンやスマートフォンから確認できます。

私はマイナポータルから「ねんきんネット」に連携しています。

これが結構便利。

これまでの年金加入記録も確認できますし、
電子版の「ねんきん定期便」も見ることができます。

私は毎年「ねんきん定期便」をダウンロードして、スマホに入れています。

年金の話になったとき、

「私、いくらだったっけ?」

と思っても、すぐに確認できます(笑)。

特に加入記録が心配な方は、
一度これまでの履歴を確認しておくことをおすすめします。

何十年も関わってきた年金です。

65歳になってから「あれ?」と思うより、
今のうちに確認しておいたほうが安心です。

マイナポータルから「ねんきんネット」へ連携でき、
年金記録の確認や電子版ねんきん定期便のPDF保存ができます。

まずは「ねんきん定期便」を開いてみよう

年金制度は複雑です。

私も調べれば調べるほど、

「なんでこんなに複雑なのよ」

と思います(笑)。

でも、自分がいくら受け取れるのかも知らないまま、

老後のお金を考えることはできません。

まずは「ねんきん定期便」を開いてみる。

そして、

受給資格期間は足りているか。

年金記録におかしなところはないか。

65歳からの年金見込額はいくらなのか。

ここを確認するところから始めてみてください。

次回は、

「日本の年金制度は2階建て」

そもそも私たちが払っている年金は、どんな仕組みになっているのか。

できるだけ分かりやすく整理してみたいと思います。


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