「セルフメディケーション」ってご存知ですか?
最近、薬局などでも見かけるようになったワードです。
WHOではセルフメディケーションについて、
”自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること”
としています。
この取り組みは、自分自身の健康にとって良いのはもちろん、医療費の抑制にもつながります。
そして実は、一定の条件を満たせば節税につながる制度もあります。
今回は、そんな「セルフメディケーション」について考えてみたいと思います。
平均寿命が延びた今、健康寿命をどう延ばす?
日本人の平均寿命は長くなりました。
以前にも記事にしましたが、
長生きすることと同じくらい大切なのが、
「平均寿命と健康寿命の差をできるだけ小さくすること」
だと思います。
生活習慣病などを予防し、いかに健康に生きていくか。
もちろん自分の努力だけではどうにもならない病気もありますが、日々の生活の中で自分自身ができることも少なくありません。
そこで注目されているのが、
「セルフメディケーション」
です。
日本ではどのくらい医療費がかかっている?
厚生労働省の「令和5(2023)年度 国民医療費の概況」をもとに、
医科診療医療費を年齢別・傷病別に見てみました。

令和5年度の医科診療医療費は
34兆5,498億円。
そのうち65歳以上が占める割合を計算すると、
**62.9%**になります。
また、がん、心疾患、脳血管疾患、高血圧性疾患、糖尿病、肝疾患、腎疾患の
7疾病について同じ資料から計算すると、
医科診療医療費の**38.6%**を占めます。
これらの病気のすべてが生活習慣だけを原因として起こるわけではありません。
ただ、食生活、運動不足、喫煙、飲酒などの
生活習慣が、発症や進行に関係するものも多くあります。
また、年齢を重ねれば、どうしても病院のお世話になる機会は増えてきます。
だからこそ、病気になってから治療するだけではなく、
日頃から自分の健康状態を知り、生活習慣を整え、予防できるものは予防していくことも大切です。
そこで注目したいのが
「セルフメディケーション」です。
※厚生労働省「令和5(2023)年度 国民医療費の概況」第6表より筆者計算・作成
セルフメディケーションでできること
セルフメディケーションというと、
「具合が悪くなったら自分で市販薬を買って飲むこと」
と思ってしまいそうですが、それだけではありません。
まず大切なのは、自分自身の健康状態を知ることです。

まずは「健康状態の把握」から
健康診断、受けていますか?
会社に勤めている方なら、1年に1回受けている方が多いと思います。
一方、仕事をしていないと健康診断を受ける機会が少なくなることもあります。
この年齢になったら、人間ドックなどでしっかり調べてもらうのも一つの方法。
なかなかハードルが高いという人は、
かかりつけ医をつくって定期的に健康状態を確認してもらうのもよいと思います。
自治体でも、年齢などに応じて健康診査や各種がん検診などを実施しています。
自宅でも、
体重、体脂肪率、血圧など、自分に必要なものを定期的に測っておく。
今は、測った数値を記録できるアプリもあります。
私が便利に使っているお薬手帳アプリにも、健康状態を記録できる項目があります。
検診を受けて、毎日の体調もチェックする。
いつもの自分の状態を知っておくことで、変化にも気づきやすくなると思います。
分かっているけれど難しい「生活習慣の改善」
次に「生活習慣の改善」。
改善の余地がない方は、それでOKです。
栄養バランスの取れた食事をとること。
適度な運動をすること。
今まで記事にもしてきましたが、
なかなか忙しさにかまけて、自分でもできていないところです。
耳が痛い・・・。
そして、睡眠をしっかりとること。
必要な睡眠時間には個人差がありますが、
睡眠時間だけでなく「睡眠で休養がとれている感覚」も大切だとされています。
私は睡眠アプリも利用して、自分の睡眠時間や状態をチェックするようにしています。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、
年齢や個人差を踏まえて必要な睡眠を確保し、睡眠休養感を高めることが勧められています。
健康食品とも上手につきあう
健康食品について正しい知識を持つことも大切です。
今、スマホを見ているとどんどん流れてきますよね。
「関節に良い」
「血圧が気になる方に」
「痩せる」
「初回70%引き」
などなど。
魅力的な言葉のオンパレードで、
ついポチッとしてしまいたくなります。
でも、健康食品なら何でも同じというわけではありません。
日本には「保健機能食品」という制度があり、
①特定保健用食品(トクホ)
②栄養機能食品
③機能性表示食品
の3種類があります。
ただし、この3つも仕組みはそれぞれ違います。
たとえばトクホは、食品ごとに有効性や安全性について国の審査を受け、許可を得たもの。
一方、機能性表示食品は、
事業者の責任において科学的根拠に基づいた機能性を表示し、消費者庁に届け出る制度です。
トクホのように一つひとつ国が許可したものではありません。
サプリメントなどには、
こうした保健機能食品に該当しないものもあります。
広告のキャッチコピーだけではなく、
表示をきちんと確認したいところです。
年齢を重ねたら「予防接種」も考えたい
「予防接種」も大切です。
幼児のころに受ける予防接種はもちろんですが、大人になってから受けるものもあります。
インフルエンザの予防接種など毎年検討するもののほか、
私が今年受けた帯状疱疹ワクチンや肺炎球菌ワクチンなど、年齢が高くなってきたら考えたいものもあります。
「帯状疱疹(ヘルペス)ワクチン接種体験記~公費接種と私の選択~」
予防接種ではありませんが、
私はピロリ菌の除菌も経験しました。
将来の病気のリスクを減らすためにできることを考える、
という意味では、これも私にとって大切な経験でした。
軽い不調なら「市販薬」を上手に活用する
そして最後が「市販薬の活用」です。
軽度な体調不良であれば、
市販されているOTC医薬品を利用し、
十分に休養をとりながら様子を見るという方法もあります。
OTC医薬品とは、医師の処方箋がなくても薬局やドラッグストアなどで購入できる医薬品のこと。
「OTC」は「Over The Counter」の略で、カウンター越しに薬を購入することに由来しています。
ただし、市販薬を飲んでも症状が改善しなかったり、悪化したりした場合には、医療機関を受診することも大切です。
最近「かかりつけ薬局」という言葉もよく見かけるようになりました。
かかりつけの薬局を持っておけば、
処方薬だけでなく市販薬を選ぶときにも、薬剤師に相談できます。
特に複数の薬を服用するようになると、
飲み合わせなども気になります。
市販薬だから何となく選ぶのではなく、
分からないときには薬剤師に相談する。
これもセルフメディケーションの一つだと思います。
セルフメディケーションで税金も安くなる?
さて、ここまでは「健康」の話でした。
でも、セルフメディケーションにはもう一つ、私たちに関係する制度があります。
それが、
「セルフメディケーション税制」
です。
ドラッグストアや薬局で自分で購入した市販薬の一部が、確定申告で所得控除の対象になる制度です。
「市販薬まで控除になるの?」
と思いますよね。
ただし、買った市販薬が何でも対象になるわけではありません。
セルフメディケーション税制とは?
セルフメディケーション税制は、健康の維持増進や疾病予防のために一定の取り組みを行っている人が、対象となるOTC医薬品を購入した場合に利用できる医療費控除の特例です。
対象となる医薬品には条件があり、厚生労働省が対象品目を公表しています。
購入時のレシートなどに、セルフメディケーション税制の対象商品であることを示す印がついていることもあります。
制度を利用しようと思ったら、まず「この薬は対象なのか」を確認する必要があります。
いくら買ったら控除される?
対象となるOTC医薬品を、その年の1月1日から12月31日までに購入し、年間の購入額が12,000円を超えた場合、その超えた部分を所得から控除できます。
控除額の上限は88,000円です。
たとえば1年間に対象となる市販薬を30,000円購入した場合、
30,000円-12,000円=18,000円
この18,000円が所得控除の対象になります。
※18,000円そのものが税金から戻ってくるわけではありません。所得から18,000円を差し引いて税額を計算する仕組みです。
また、自分の分だけではなく、生計を一にする配偶者やその他の親族のために購入した対象医薬品も対象になります。
誰でも利用できるわけではない
セルフメディケーション税制を利用するためには、健康の維持増進や疾病予防のための「一定の取組」を行っていることも条件になります。
たとえば、
健康診断、予防接種、がん検診、特定健康診査などです。
つまり、
「自分の健康管理にも取り組みながら、軽い不調には適切に市販薬を利用する」
という制度なんですね。
普通の医療費控除とは一緒に使えない
ここは注意が必要です。
通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は、どちらか一方を選んで利用する制度です。
両方を同時に適用することはできません。
病院で支払った医療費などが多かった年には通常の医療費控除、市販薬の購入が多かった年にはセルフメディケーション税制のほうが有利になることもあります。
確定申告をする前に、どちらを使ったほうが自分にとって有利なのか計算してみるとよさそうです。
制度の対象医薬品などは変更されることがあるため、実際に申告するときには、その年の最新情報を確認してください。
「自分の健康は自分でも守る」ということ
「セルフメディケーション」という言葉を最初に聞いたとき、私は「市販薬を使って自分で治すこと」くらいに思っていました。
でも、調べてみると、それだけではないんですね。
健康診断を受ける。
自分の体重や血圧を知る。
食事や運動、睡眠を見直す。
必要な予防接種を受ける。
そして軽い不調なら、薬剤師などにも相談しながら市販薬を上手に利用する。
それでも良くならなければ、きちんと病院へ行く。
考えてみれば、どれも特別なことではありません。
でも年齢を重ねた今、この「特別ではないことを続ける」のが案外大切なのかもしれません。
私自身、食事も運動も睡眠も、
「全部ちゃんとできています!」
とは、とても言えません(笑)。
むしろ耳の痛いことのほうが多い。
それでも、自分の健康状態を知っているのと知らないのとでは違うと思っています。
そしてセルフメディケーションは、
「病院へ行かないようにすること」ではなく、「自分の健康に関心を持ち、必要に応じて医療もうまく利用すること」
なのではないでしょうか。
人生100年時代と言われます。
ただ長生きするのではなく、できるだけ元気に、自分のやりたいことをしながら年齢を重ねていきたい。
そのためにも、まずは自分の身体を知るところから。
知ったうえで生活習慣を改善する。
とはいえ、あまり気にしすぎてしまうと続かない事が多い。
(私の場合)
自分なりにゆるっと
私もできることから続けていこうと思います。
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